コラム
2019年04月05日

法定相続人の基礎知識

人が亡くなると相続が発生します。故人の住んでいた家はもちろんのこと、所有していた土地や畑、銀行の預金など、誰がどのくらい相続するかが問題になります。これについて法律で、誰がどのくらいの遺産を相続する権利があるのかを定めています。

そこでこの記事では、相続が発生した時に法律で決まっている法定相続人・法定相続分について基本的な事柄をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

 

法定相続人と法定相続分とは

相続が発生したとき、法律では法定相続人と法定相続分という言葉があります。法定相続人とは、故人の遺産を相続する権利のある人をいいます。全ての親族に相続する権利があるわけではなく、その時の故人の親族構成によって異なります。法定相続分とは、それぞれの法定相続人が相続できる遺産の割合のことをいいます。

 

配偶者は常に法定相続人

故人に配偶者がいる場合は、配偶者は常に相続人です。例えば、亡くなった男性の妻は、妻以外に法定相続人がいない場合、妻のみが相続人になります。また妻以外に親族がいる場合は、妻とその他の親族が法定相続人となります。

 

配偶者以外の法定相続人

第1順位の法定相続人

故人に子供がいる場合は、配偶者の他にまず子供が相続人になります。これを第1順位の法定相続人といいます。子供が複数人いる場合は、全員が法定相続人となり、法定相続分は均等になります。

【事例1】

故人:太郎
妻:桃子
長男:一郎
次男:二郎

この場合、まず配偶者である妻の桃子が2分の1を相続します。そして残りの2分の1を子供たちの人数で均等の割合により分割します。よって、2分の1の2等分なので、一郎が4分の1を相続し、二郎が4分の1を相続します。

既に桃子が亡くなっている場合は、一郎が2分の1を相続し、二郎が2分の1を相続します。

第2順位の法定相続人

故人に子供・孫がいない場合は親が法定相続人です。これを第2順位の法定相続人といいます。

【事例2】

故人:太郎
妻:桃子
太郎の父:義郎
太郎の母:梅子

この場合、配偶者である妻の桃子が3分の2を相続します。そして残りの3分の1を父と母が平等に2分の1ずつ相続するので、義郎が6分の1を相続し、梅子が6分の1を相続します。

配偶者の法定相続分は、先に説明した第1順位の法定相続人の時と、今回の第2順位では割合が変わります。

既に妻の桃子が亡くなっている場合は、義郎が2分の1を相続し、梅子が2分の1を相続します。

第3順位の法定相続人

故人に子供や孫、親や祖父母などもいない場合、兄弟姉妹が法定相続人です。これを第3順位の法定相続人といいます。兄弟姉妹が複数人いる場合は、兄弟姉妹全員が法定相続人となり、法定相続分は均等になります。

【事例3】

故人:太郎
妻:桃子
太郎の姉:春子
太郎の妹:夏子

この場合、配偶者である妻の桃子が4分の3を相続します。そして残りの4分の1を兄弟たちの人数で均等の割合により分割します。よって、4分の1の2等分なので、春子が8分の1を相続し、夏子が8分の1を相続します。

配偶者の法定相続分は、先に説明した第1順位・第2順位の法定相続人と割合が変わります。

 

代襲相続

代襲相続とは

相続人が故人よりも先に亡くなっている場合は、相続人の子供に遺産を相続する権利があります。これを代襲相続といいます。代襲相続人が複数人いる場合は、代襲相続人全員が法定相続人となり、法定相続分は均等になります。

【事例4】

故人:太郎(平成31年3月31日死亡)
妻:桃子
長男:一郎
次男:二郎(平成30年2月20日死亡)
二郎の長男:秋男
二郎の次男:冬男

二郎が亡くなっていない場合は、桃子が2分の1を相続し、一郎が4分の1を相続し、二郎が4分の1を相続します。ところが二郎は太郎より先に亡くなっているので、二郎の相続分を秋男と冬男が代襲し、その相続分は二郎の法定相続分である4分の1の均等の割合の2分の1ずつになるので、秋男は8分の1を相続し、冬男は8分の1を相続します。

つまり各法定相続人のそれぞれの法定相続分は、桃子は2分の1、一郎は4分の1、秋男は8分の1、冬男は8分の1となります。

代襲相続の範囲

代襲相続の範囲には次のような決まりがあります。

・故人より先に子供も孫も亡くなっている場合は、ひ孫は代襲して法定相続人となります。
・故人より先に兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥や姪が代襲して法定相続人となります。ただし、この時甥や姪も先に亡くなっている場合、甥や姪の子供は代襲せず相続人になりません。兄弟姉妹の代襲相続は一代限りになります。

 

まとめ

故人の相続人と相続分は法律で定められており、その時の親族構成によって法定相続人・法定相続分が決まります。また、ここで紹介したものは一般的な例ですので、複雑な親族構成の場合や遺言がある場合には、法定相続人・法定相続分が変わってきます。相続人・相続分の判断に不安がある場合には専門家に相談することをおすすめいたします。