不動産登記簿と個人情報

江戸川区のグリーンパレスで行われている区民向け法律相談の相談員を担当した際に次のような相談を受けました。

「不動産登記簿に記載されている住所氏名は個人情報に当たらないのか？」

何でも相談者の方は、チラシではなく自分の氏名宛で営業の通知が送られて来るので気味が悪くなり、その通知が来ている内の一つの業者に確認したところ、自宅の不動産登記簿を見て通知していると言っていたそうです。まったく知らない業者に住所氏名を知られているのはあまり気分が良いことではないということで相談にいらっしゃいました。

結論といたしましては、法律上、不動産登記簿は手数料を納付すれば何人でも取得することができ（不動産登記法第119条）、不動産登記簿により取得した住所氏名は不正な手段によりに取得した情報ではないことになります（個人情報保護法第17条）。

不動産登記制度は、不動産の現状や権利関係を公示して不動産取引が安全かつ円滑に行われることを目的としています。
相談者の方は「不動産登記簿を交付するときは名義人に連絡してから交付してほしい。」とおっしゃっていましたが、そのようにしてしまうと不動産取引の際に不動産の情報を直ぐに確認することができなくなり、不動産取引に支障が出てしまいます。
しかし、取得方法が適法だとしても、まったく知らない人に個人情報が知られてしまうので、相談者の方のようなお気持ちになるのもわからなくはないのですが…